塩素の鉱物-マグマ間分配が明らかにした月地殻の形成過程と月表面の二分性の起源
足球即时比分_365体育直播¥球探网先端研究院地球深部ダイナミクス研究センターのJiejun Jing研究員と桑原秀治講師らの研究グループは、これまで報告例の乏しい月環境に近い条件で高圧?高温実験を行い、塩素(Cl)が鉱物と共存するマグマとの間でどのように分配されるかについて新たなデータを取得しました。こうした実験結果を基に、月の内部進化モデルと組み合わせて地殻形成過程を検討した結果、表側の地殻には異常なほど塩素が多く含まれていることがわかりました。一方で、裏側の地殻にはこのような塩素の濃集は見られませんでした。こうした結果は月表側の地殻は塩素によって変質を受けており、裏側にはより始原的な地殻が残っていることを示唆しています。
研究のポイント
?月の地殻中鉱物にはフッ素や塩素といった揮発性元素が存在しているが、これらが地殻形成過程とどのような関係にあるのかはよくわかっていなかった。
?本研究グループは、月環境条件下における塩素の鉱物-マグマ間分配を実験的に調べた。
?実験結果をモデル計算と組み合わせた結果、月の表側は裏側に比べて、これまで考えられていたよりも塩素が多く濃集しており、これは表側で起こった火山活動などによって供給された塩素に起因する可能性が高いことがわかった。
?塩素に乏しい月の裏側地殻はより始原的なマントル物質を含み、月地殻の初期状態をよく保存していることがわかった。
論文情報
掲載誌:Nature Communications
タイトル:Halogen abundance evidence for the formation and metasomatism of the primary lunar crust.
(和訳)ハロゲン元素の存在量が示す、始原的な月地殻の形成と変質の証拠
著者:Jing, J. J., Berndt, J., Kuwahara, H., Klemme, S., & van Westrenen, W.
DOI:10.1038/s41467-025-60849-4
URL:https://www.nature.com/articles/s41467-025-60849-4
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Jiejun Jing