未来の愛大生へ

2016.07.19
感動創造エンジンとしての大学

秀野 晃大 助教

●紙産業イノベーションセンター
●生物化学工学、木質科学

 皆さんは、何をやっている時が楽しいでしょうか?何を考えている時にワクワクしますか?それらを踏まえて、将来、社会で何をやりたいでしょうか。偉そうなことを書いてしまいましたが、私自身、高校生の頃にはっきりとイメージできていたわけではありませんでした。大学に入り、「バイオ」や「環境」について興味をもち、出口としてバイオマスの有効利用を考えている内に、現在の所属(紙産業イノベーションセンター)になり、製紙産業と関わるようになりました。
 製紙産業は、バイオマス産業の成功例です。しかし、近年、国内の紙需要は減少傾向で、新たな戦略が求められています。その一環として、現在私は、植物の骨格物質であるセルロースナノファイバーに関する研究に携わっています。
 一方、大気中のCO2濃度増加による気候変動が世界的に問題視され対策が求められています。現在のCO2濃度は0.03~0.04%程度だそうです。その濃度で気候変動の影響を懸念されるのですから驚きです。さらに驚くのは、植物がその濃度のCO2を取り込み、セルロースナノファイバーを含む自身の植物体を作りだし、ヒトの背丈を遥かに越える木々へと成長していくという事です。
 CO2という目に見えない気体から、目に見え触れる事のできる大きな固体へのダイナミックな変化。その生命の営みが地球の気候に与える影響。生み出される素材。
 想像すると、あらためて感動します。我々は、その木から大量に紙を作り、日々無意識に使っていますから、考えようによっては大変贅沢な事をしているとも言えます。さらに今後はセルロースナノファイバーという高機能素材を取り出し、使えるかもしれない。感動の嵐です。
 感動と一回でも出会えれば、将来やりたい事がはっきりするかもしれません。その他多くのつまらない事にも耐えられる、とも思います。大学には様々な先生方がおり、感動の種がいくつも用意されています。大学で一生に一度とも思える感動の出会いを探しに来てはいかがでしょうか。

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